民間航空エンジンに関する品質要求AS13100_MSA(測定システム解析)とは?(その2)
以前、民間航空エンジンに関わる新しい要求であるAS13100が2023年1月より適用がスタートしましたとコラムで紹介させていただきました。これは航空・宇宙・防衛の品質マネジメントシステム要求であるAS/EN/JISQ 9100だけでは十分ではないと考えていたエンジンメーカが補足要求を詰め込んだものになっています。
コラム:海外民間航空エンジンに関する品質保証要求
先回はMSA(測定システム解析)、ゲージR&Rについてすこし紹介させていただきました。ゲージR&Rは部品や人を変えながら測定を繰り返し行うことで人に起因するバラつきも含んだ測定システムの能力を評価するというものです。
前回コラム:第1回_民間航空エンジンに関する品質要求AS13100_MSA(測定システム解析)とは?
今回はこれを三次元測定機(CMM)の計測に適用する場合の要求について紹介したいと思います。
ご存じの通り一般的なCMMはプログラムで自動計測が出来ますので人に起因するバラつきは基本的にはありません。何年も前になりますがCMMについてGRRを実施するよう顧客から要求がありその時には10部品を3人で3回繰り返し測定(90回測定)を要求されました。“自動測定しているのに人を変えて繰り返し測定しても時間かかるだけで意味が無い!”と文句言いながらも顧客要求なので仕方なくやっていたものです。
AS13100とそのリファレンスマニュアル(RM13003)ではCMMのMSAとしてCDMS studyという手法が紹介されています。
これは
- CMMへの部品のローディングと測定を繰り返し行った時(標準で5回)の計測結果のバラつき(再現性)
- 別途作ったプログラムで同じ部品を計測した時の計測結果とオリジナルのプログラムでの計測結果の差(バイアス)
がそれぞれ公差の10%以内であれば合格というものです。
一般的なGRRが人と計測器を含めた評価を行うのに対して、このCDMS studyでは自動計測プログラムと計測器(CMM)を含めた評価を行うことになります。
この手法をとることで無駄に90回繰り返し測定を行うより、5回+1回で評価を終えることになり、かなり時短となりますし計測システムの特性にもよく合っているなぁと感じます。(手間はやっぱりかなりかかりますが・・・)
現在では自動で複雑な形状の部品を精度よく測定できるCMMは寸法測定には必須の器材となっています。航空エンジン部品に限らず、CMM計測をより確実にしていくためにこのCDMS studyも良い評価方法だと思いますよ。
文責 竹内 朗
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