民間航空エンジンに関する品質要求AS13100_MSA(測定システム解析)とは?
以前、民間航空エンジンに関わる新しい要求であるAS13100が2023年1月より適用がスタートしましたとコラムで紹介させていただきました。これは航空・宇宙・防衛の品質マネジメントシステム要求であるAS/EN/JISQ 9100だけでは十分ではないと考えていたエンジンメーカが補足要求を詰め込んだものになっています。
コラム:海外民間航空エンジンに関する品質保証要求
その追加された項目のうち特徴的なものをこれから紹介していこうと思います。
まず今回はMSA:Measurement System Analysis(測定システム解析)です。
MSAは自動車関連のQMS要求であるIATF16949でもコアツールとして実施を要求されていますが、いよいよその流れが航空エンジンにも押し寄せて来たということですね。
MSAはAS13100規格の箇条7.1.5.1.1に登場します。
箇条の配列は以下の通りで
JISQ9100 | 7.1.5 | 監視および測定のための資源 |
JISQ9100 | 7.1.5.1 | 一般 |
AS13100 | 7.1.5.1.1 | Measurement System Analysis(MSA) |
JISQ9100の箇条7.1.5.1は、ごくごく簡単にいうと製品などの要求事項の適合を判断するために適切な測定器を準備し、その校正を実施すること という要求です。この要求に沿って製造や検査に使用する測定器は原則として校正を行っているかと思います。
AS13100では航空エンジンの製造や検査に関して、測定器の校正に加えてMSA(測定システム解析)も実施することを求めています。
ではMSAとは何でしょう?
AS13100の用語の定義には・・・
「測定プロセスの選定要素(要員、機械、ツール、方法、材料、環境)が
測定の正確性、精密性、不確かさなどにおよぼす影響の調査」とされています。
校正では測定器の指示が標準の示す値とくらべてどのくらいズレがあるのかを確認します。これは測定器の持っている能力を確認するといってもいいのかもしれません。
MSAの代表的な手法であるゲージR&Rでは部品や人を変えて繰り返し測定を行い(例えば10個の部品を3人が3回測定)、これらの結果を統計ソフトで処理して、ばらつきがどの程度発生するのか、それは人の影響なのか測定器の問題なのか、合否判定に適用可能なのかなどを評価します。
校正で確認された測定器のベストな能力ではなく、実際に現場でその測定器を使った時にどの程度の能力が出せるかを確認するというとイメージしやすいかもしれません。
ちょっと時間はかかりますが読者の皆さんもゲージR&R興味あれば一度やってみませんか?
文責 竹内 朗
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