その運用は大丈夫ですか? 内部監査もQualityが重要

前回、内部監査の要求事項と大きな流れについて解説しました。品質マネジメントシステムの認証を取得されている企業様は、自社の規定に従って内部監査を実施されていると思いますが、貴社の内部監査の質をどのように評価されていますか?

今回は内部監査の実態に触れてみたいと思います。

当社自身もJIS Q 9100の認証を取得しており、当然ながら内部監査も実施していますが、数年前にマネジメントレビューを行った際に、前年度の内部監査での指摘事項(含む気付き事項)が0件だったという報告を受け、正直ショックを受けました。

過去にも、JIS Q 9100の審査で認証機関の審査員の方と、「内部監査の指摘は少ない方が良いのか?多い方が良いのか?」議論になったことがあります。品質マネジメントシステムの運用が完璧に近ければ指摘事項は少なくなりますが、一方で内部監査の質が低ければ、問題を捕捉することができず指摘は出てきません。

「内部監査での指摘0件」という報告を受けて、自社の内部監査の質を上げなければならないと痛感した次第です。

そのために、内部監査員のレベルアップを計画しました。

まずは内部監査員の再教育です。内部監査員は、所要の教育を受講し、力量を評価した上で認定しますが、それに加えて企業様向けに開講している「内部監査員養成セミナー」の講師による再教育を行いました。JIS Q 9100の要求事項を一通りおさらいし、内部監査に必要な知識を再確認させました。

また実際の監査で、若手の監査員にはベテラン監査員に同行させ、監査の進め方などを実地で学んでもらいました。

これらの対策を進めた結果、内部監査での指摘「0件」という状況は脱したものの、新たな課題が明確になりました。JIS Q 9100の審査で認証機関の審査員に内部審査の状況を確認いただいた際、当社の監査員の「気付き」は認証機関の審査員の見方では「指摘」ではないかという問題提起でした。

指摘内容が軽微な「気付き」なのか「不適合」なのかは別として、社内で内部監査をやるにあたっては、同じ社内の人に向かって問題を指摘しづらい「遠慮」があるように思います。さらに、問題を見つけた場合に、規格の要求を満足していない「不適合」と指摘する自信がなく、軽い「気付き」に区分してしまうケースもあるのかもしれません。

一方、被監査部門は内部監査の指摘を「ありがたく」受けとめるような文化が必要です。顧客の監査や、認証機関の審査で不適合を指摘されるのではなく、事前に自社で問題を見つけて改善につなげることが、品質マネジメントシステム要求の意図するところです。

当社でも引続き内部監査の質を高め、継続的に品質マネジメントシステムを改善していきたいと考えます。
メルマガ読者の皆様も、是非一度 貴社の内部監査の質をチェックされては如何でしょうか。
次回は箇条9.3マネジメントレビューについて解説します。

文責  有田 智充

航空宇宙の品質保証に携わってきた講師が分かりやすく、航空宇宙の内部監査について解説致します。また、2日目には
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