その運用は大丈夫ですか? 内部監査で自社チェック

前回は、JIS Q 9100規格で要求される品質マネジメントシステムにも、PDCAサイクルが組み込まれていること、箇条9(パフォーマンス評価)がCheckのプロセスであることを説明し、箇条9.1「監視、測定、分析及び評価」について解説しました。

今回は 箇条9.2「内部監査」について解説します。

内部監査は、まさに組織の「内部」で実施する第一者監査ですが、監査/審査という行為はこの内部監査の他に、顧客が実施する第二者監査、認証機関などが実施する第三者審査があります。

顧客が実施する第二者監査は、JIS Q 9100の認証を取得している企業に対しては、品質マネジメントシステムの監査にはさほど時間を割かずに、顧客の独自要求の実施状況や製品の品質などの監査が主体になります。顧客にとっては、品質マネジメントシステムの監査を省力化できる点も、取引先に認証取得を求めるメリットの一つです。

JIS Q 9100の認証機関などが実施するのが、第三者審査です。品質マネジメントシステムが適正に構築されているか、品質マニュアルや細部規定通りに各プロセスが実行されているかという視点で審査されます。

組織自身で実施する内部監査について、JIS Q 9100規格 箇条9.2.1で次のように要求されています。

品質マネジメントシステムが次の状況にあるか否かに関する情報を提供するために、あらかじめ定めた間隔で内部監査を実施しなければならない。

a)次の事項に適合している。
 1.品質マネジメントシステムに関して、組織自体が規定した要求事項
 2.JIS Q 9100の要求事項

b)有効に実施され維持されている。

さらに、箇条9.9.2では、内部監査に関して、
a) 監査プログラムの計画、確立、実施及び維持、
b) 監査基準及び監査範囲の決定、
c) 監査員の選定、監査の実施、
d) 結果の報告、
e) 是正処置、
f) 監査結果の保持
が要求されています。
参考までに当社は以下の流れで内部監査を実施しています。

① 内部監査の事務局である内部監査室が、前年度の監査結果を反映して、各部門 年1回以上の監査が行われるよう
 当該年度の内部監査計画を作成します。

② 監査においては、品質マニュアル/細部規定に従って正しく作業が行われ、正しく記録が残されているか、
 作業現場で確認します。

③ 監査の結果、不適合があった場合には、被監査部門に対して是正処置を要求します。

④ 被監査部門は、修正処置、根本原因、是正処置計画(恒久対策の計画)をとりまとめ内部監査室に回答します。

⑤ 内部監査室は処置内容の妥当性を確認し、是正処置が確実に行われていることをフォローアップ監査で確認します。

    以上、今回は内部監査の要求事項と大きな流れについて解説しました。
    次回は内部監査の実態について触れてみたいと思います。

    文責  有田 智充

    航空宇宙の品質保証に携わってきた講師が分かりやすく、航空宇宙の内部監査について解説致します。また、2日目には
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