【#4】JIS Q 9100:2016の要求事項 認識

 最初に、前回の是正処置に関する内容で、“不適合に対する製品安全や費用面などの影響度が、小さいと判断すれば是正処置は不要としてよいです。”と記載しましたが、これは影響度が小さくても繰り返し同様な不適合(再発)が発生すれば、日程やコストへの影響が大きくなりますので、その場合には束ねた是正処置は必要であることを追加させていただきます。

 認識については、箇条7.3 認識で、組織の管理下で働く人々が、認識を持たなければならない事項を規定しています。組織の管理下で働く人々とされていますので、対象範囲の業務を行う社員だけではなく、協力会社の人々も対象となります。そのための手段を明確にして実施することが必要です。

この認識を持たなければならない要求事項の内、特にJIS Q 9100の追加要求事項として、
f) 製品又はサービスの適合に対する自らの貢献、
g) 製品安全に対する自らの貢献
がありますが、組織としてどのように対処されているのでしょうか。

自らの貢献とは何をすればよいのか、どのような活動が必要なのかと問われた時、詰まってしまうことはありませんか。筆者は、セミナー等において、難しく考える必要はなく、決められたとおりに実行することです。即ち、手順書に規定されたとおりに作業し、応用動作をしないことです。変更が必要な場合には、勝手に判断するのではなく、決められた手続きを実施してからその変更をすることで、それが引いては、製品品質や製品安全に対する自らの貢献につながりますと説明しています。

 また、この製品品質や製品安全に関連する要求事項として、
h) 倫理的行動の重要性 があります。これは、2016年度の改正時に日本側の要請で追加されたと聞きます。当時、航空機の品質を揺るがす不正が行われていたことに端を発したものと思われます。現在でも、航空宇宙業界だけでなく、さまざまな分野で不正行為が明らかになっています。一旦、不正が発覚した企業のその後の状況は、ご存じのとおりです。
日本航空工業会では、その不正防止のための取組みとして航空宇宙工業会規格SJAC 9068B 「品質マネジメントシステムー航空、宇宙及び防衛分野の組織に対する要求事項―強固なQMS構築のためのJIS Q 9100補足事項」を発行し、JIS Q 9100:2016版に追加要求するかたちで不正防止の取組みを要求しています。自身の組織の状況と比較してみるのもよいでしょう。

 この認識に関する要求事項は、
箇条8.4.3 外部提供者に対する情報において、組織が外部提供者に伝達しなければならない要求事項があり、 
m) (外部提供者の)人々に認識してもらうことが必要な事項として、- 製品又はサービスの適合に対する自らの貢献、- 製品安全に対する自らの貢献、- 倫理的行動の重要性があります。
箇条7.3 f)、g)、h) と全く同じ要求事項です。

 組織は、単にこれらを要求するだけでなく、具体的にどのようなに対処するのかを付け加えることが重要です。昨今の不正報道でも、外部提供者での不正であってもそれは製品を取りまとめている企業の責任とされています。組織内だけではなく、外部提供者の状況にも目を配るような管理が必要であることをJIS Q 9100は言っています。

 今回で筆者の考え方に基づくJIS Q 9100:2016の解説を終了します。

文責 古郡 秀一

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