あるQAマンの体験記 第27回 シックスシグマ活動 

シックスシグマ活動について少し紹介しますと、シックスシグマ活動は、1990年代後半に米国モトローラ社が体系化した手法で、統計学をベースにして、設計、製造などの改善をするために使われたもので「ミスやエラー、欠陥品の発生確率を100万分の3.4(統計学の中の正規分布で6σの意味する不適合率)のレベルにすることを目標に推進する継続的な経営品質改革活動」と言えます。

シックスシグマは、ボトムアップ型かつ暗黙知を好む日本のQCサークル活動を参考にし、トップダウン型で行う、また統計学的な手法を取り入れた定量的評価を中心とした手法として開発されたと言われています。

その後、GEが品質のみならず、経営全体のプロセス改革に適用して発展させていったもので、1990年代後半になって日本にも紹介され、1999年に東芝はGEの手法に習い、さらに独自の改良を加えて全社的な適用を行ったほか、ソニーなど他社でも導入されました。

筆者がスピンドルモーターの海外生産拠点にいた時には、顧客からシックスシグマ活動を推奨されることもあり、優秀な意識の高い技術者にブラックベルト(BB:シックスシグマの手法を習得した技術者に与える資格で柔道の黒帯から命名した名前)の資格を取得させ、工程の改善など担当させていたものです。

シックスシグマは、統計手法を使った改善でDMAIC(Define-Measure-Analyze-Improve-Control)の各段階に分けて改善を体系的に行うものです。

特にImproveの段階では、実験計画法などを使って、改善パラメータの最適化を統計的に解析するところなどに特徴があります。特殊な統計用ソフト(MINITABなど)を駆使して解析します。

本社で実施したトレーニングにも同席しましたが、具体的には、DMAICのそれぞれの段階でパソコン(統計ソフト)を使った手法の説明、活用の事例紹介、自部門に持ち帰って個人テーマ(実務)で実践、その結果を次回の研修までにまとめて発表、そして次の手法を受講、また実践と5回繰り返す。

以前在籍した重工メーカでも自部門のスタッフが渡米してGEに出向き一連のパッケージで研修を受け、ブラックベルトの資格を取得してくれました。実践を重んじる研修なのでここでも半年程度かけて学ぶ方法がとられていました。

実は、現地生産拠点であるフィリピンでも講習を受けさせ改善活動を主導させましたが問題は、資格を取った技術者が退職していくことでした。高額のトレーニングで得られる資格なので、他社に売り込んで転出していくということがあり、愛社精神のないことを残念に思ったものです。

文責 山本 晴久

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