JIS Q 9100の分かり易い解説について(第8回-1)
前回は、箇条8.5.2識別とトレーサビリティについて記載させていただきました。
今回は、箇条8.7 不適合なアウトプットの管理についてお話しさせていただきます。
先ず、規格では次の通り管理することが要求されています。
8.7.1 組織は、要求事項に適合していないアウトプットが誤って使用されること又は引き渡されることを防ぐために、それらを識別に、管理することを確実にしなければならない。
注記 不適合なアウトプットには、内部で発生した、外部提供者から受領した若しくは顧客によって特定された不適合な製品又はサービスを含む。
組織は、不適合の性質、並びにそれが製品及びサービスの適合に与える影響に基づいて、適切な処置をとらなければならない。これは、製品の引き渡し後、サービスの提供中又は提供後に検出された、不適合な製品及びサービスにも適用されなければならない。・・・・
不適合なアウトプットとは、製品の要求事項を満足していない不適合製品のことです。不適合製品は、注記に示されるように次の通り分類され、各々における不適合製品の管理方法を確立することが求められています。
- 組織内部に起因して発生した不適合製品
- 外部提供者(材料、加工外注等)から納入された不適合製品
- 納入後にお客様で発見された不適合製品
先ず重要なことは、不適合製品であることを明確に識別して、誤って合格品として納入されないように管理することです。
また、規格の要求事項にはありませんが、航空・宇宙産業のお客様は、性悪説の観点より不適合品が悪用されないように、鍵のかかる保留品置場で管理することが一般的に要求されています。
筆者がJIS Q 9100の認証取得支援を担当させていただいた企業様におかれましても、実際に次のようなことを経験しました。
お客様の品質管理仕様書に、鍵のかかる保留品置場による管理が要求されており、保留品置場を新たに設置して管理されていました。
ところが、お客様の監査当日、検査の責任者の方が鍵をかけるのを忘れられていたため、お客様より重大不適合として指摘されたことがあります。 次回は、不適合製品の処置等に関わるJIS Q 9100の追加要求事項を主体にお話しさせていただきます
文責 松田一ニ三
当社では主に航空宇宙の品質に関わるご支援をしております。
以下、リンクです。
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