JIS Q 9100の分かり易い解説について(第7回)

2回に亘り、箇条8.5.1.3 製造工程の検証について説明させていただきました。

今回は、8.5.2 識別及びトレーサビリティついて、お話しさせていただきます。
規格の要求では、次の通り要求されています。
 製品及びサービスの適合を確実にするために必要な場合、組織はアウトプットを識別するために、適切な手段を用いなければならない。
 組織は、実際の形態と要求した形態の違いが識別できるように、製品及びサービス形態の識別を維持しなければならない。
 組織は、製造及びサービス提供の全過程において、監視及び測定の要求事項に関連して、アウトプットの状態を識別しなければならない。
 合格表示媒体(例えば、スタンプ、電子署名、パスワード)を使用する場合、組織は、その表示媒体の管理を確立しなければならない。
 トレーサビリティが要求事項となっている場合には、組織は、アウトプットについて一意の識別を管理し、トレーサビリティを可能とするために必要な文書化した情報を保持しなければならない。

 箇条8.5.2で識別とトレーサビリティに関して、各々異なる要求事項が示されています。今回は、識別について説明させていただきます。識別とは、全製造過程において仕掛品(企業様によってはワークとも呼ばれています)の状態を明確にしておくことです。

筆者が、JIS Q 9100の認証取得支援を実施させていただいた企業様におかれましても、仕掛品だけが裸の状態で現場に置かれているのを、目にすることがありました。このような状態で管理されていると、顧客へ異品を納入される一因になります。

 したがって、規格の要求事項では次に示す具体的な識別が求められています。
 (1)製品の識別
    部品番号(改訂符号含む)、全体の製造工程、現在作業中の工程等
 (2)形態の識別
    契約した形態(改訂符号)と製造した製品の形態との差
 (3)製品の状態の識別
    合格又は不合格を合格表示媒体(検査スタンプ、電子署名等)により識別 

 仕掛品の識別を適切に行うには、これらの情報を明確にした作業指示書等を仕掛品と一緒に保管されることが望ましいです。 次回は、トレーサビリティについて具体的に説明させていただきます。

文責 松田一ニ三

名古屋品証研株式会社

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