あるQAマンの体験記 第21回 電動モーターを作る会社に転出!

業界の違う会社に転出
大手重工メーカの航空機製造事業所に28年間在籍したのち、52才の時に一念発起して航空機とは別の業界の会社に移ることにしました。そこはあらゆる種類の電動モーターを手掛ける企業(N社)で筆者は、その中でもPCのハードディスクドライブ(HDD)用の精密モーターの品質保証を担当させていただくことになりました。

仕事の紹介
HDDの中は、下記の写真のようになっています。(Crusial社 HPから引用)
スピンドルモーターでデータを書き込むディスクを高速で回転させ、磁気ヘッドでデータを書き込んだ後に、同じポジションに磁気ヘッドを移動しデータを読みに行くため、非常に高い回転精度が要求される製品です。
また、振動、高温/低温下で使用されるものであり、高い耐環境性と信頼性が要求されます。

筆者のいたフィリピンの工場はこのスピンドルモーターの専門工場で、生産台数も半端でなく月産数百万個の生産をしていました。作業者は、若い女性の完全2シフト体制で8000人近くが働いてくれていました。社長以下、日本人は主要なマネージャと技術担当で50名程度のメンバーで工場を運営していました。

組立作業場(クリーンルーム)は、特に清浄度が必要でいわゆる1万クラス(1立方メートルにある一定以上の大きさの埃が1万個以下の要求に合致するもの)で、外から埃を持ち込まないようにバニースーツというにクリーンウェアに着替え、マスクとゴーグルと手袋をつけてエアシャワーを浴びたうえで作業場に入出するなど厳格な管理がされていました。

女性の作業者は、化粧をすることができず(化粧品のパウダーがコンタミとなる)、またタバコを吸った後一定時間はクリーンルームには入れないという厳格なルールで管理されていました。(肺の中からたばこの煙の粒子が出てきてコンタミになる)

 製品としては、PCの他、サーバー、ビデオ機器、カーナビなど広い製品群があり、生産量も一気に増えていきましたが、一方、売値はムーアの法則(18か月で半導体のコストが半分になる)で下降していくという厳しい環境でした。

また、技術革新もどんどん進み、データのメモリーに半導体が使われるSSD(Solid State Drive)が安く生産されるようになり、HDDの市場にもなだれ込んでくるような状況でした。

そのような会社で、国内で3か月間の技術研修の後、フィリピンの現地工場に赴任することになりました。そこで経験したことをこのシリーズで少し書いてみたいと考えています。よろしくお付き合いのほどお願いします。

文責 山本 晴久

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