JIS Q 9100の分かり易い解説について(第6回)

2回に亘り箇条8.5.1.2 特殊工程の妥当性確認及び管理について、お話しさせていただきました。

今回は、箇条8.5.1.3 製造工程の検証について説明させていただきます。
先ずは、規格の要求事項を次に示します。

組織は、その製造工程によって、要求事項を満たす製品を製造できることを確実にするため、製造工程の検証活動を実施しなければならない。
 注記 これらの活動には、リスクアセスメント、生産能力(capacity)調査、製造能力(capability)調査、及び管理計画が含まれ得る。
 組織は、その製造工程、製造文書及び治工具によって、要求事項を満たす部品及び組立品を製造できることを検証するため、新規の部品又は組立品の初回製造からの代表品を使用しなければならない。この活動は、初回の結果を無効にする変更(例えば、設計の変更、製造工程の変更、治工具の変更)が生じたとき、繰り返さなければならない。
 注記 この活動は、初回製品検査(FAI)と呼ばれる。
 組織は、製造工程の検証結果に関する文書化した情報を保持しなければならない。

製造工程の検証の目的は、工程設計として生産技術が準備する製造に必要な文書類(例えば作業指示書、作業手順書等)、治工具(NCプログラム含む)等のバグだしを、作業者が量産の初ロットで行い改善することです。

そして、次ロットからは初ロットの製品と同等の品質の製品を済々と製造できるようにする仕組みのことです。なお、作業者が不備を発見された場合は、それらの発行元(生産技術)に修正依頼して改善してもらうことが重要です。

勝手に作業者が書き込み訂正等を行うと、次ロットの製造文書等が発行される際に、訂正等が反映されない場合があります。

従って、製造工程の検証を行われる時は、生産技術の担当者が同時に立合われることを推奨します。そうすることにより、不備があった場合は、即座に生産技術の担当者が漏れなく改善することが可能となります。

更に、作業者と生産技術の担当者とのコミュニケーションが良くなり、互いの技術レベルの向上が期待できます。 次回は、製造工程の検証に関わる変更管理のあり方及び記録等について説明させていただきます。 

文責 松田一ニ三

名古屋品証研株式会社

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