内部監査について2 第1回

JIS Q 9100 内部監査について

今回は、JIS Q 9100:2016で要求されている内部監査について述べます。

内部監査とは、組織自身が、組織内で運用しているプロセス(活動)の適切性、健全性などを確認し、不適合事項を改善する 活動と言えます。
内部監査を進めるにあたっては、JIS Q19011:2019「マネジメントシステム監査のための指針」が発行されており、また航空宇宙産業における認証機関による審査は、航空宇宙工業会規格SJAC9101F「品質マネジメントシステム 航空、宇宙及び防衛分野の組織に対する審査要求事項」が適用されますので、これらの内容を参考にしながら述べます。

1. JIS Q 9100:2016での内部監査
内部監査は、規格の「箇条9.2 内部監査」として要求されています。
この箇条において内部監査は、適合性(箇条9.2.1 a))有効性(箇条9.2.1 b))について年間計画等により定めた間隔で実施することを要求しています。
従って、組織の内部監査においては、この両方について計画し実施することが必要となります。

2. 適合性監査
適合性監査は、決められたこと(要求事項)”と、決めたこと(文書化された手順)”を満たしているかについて監査し、適合又は不適合の監査所見を出すことです。内部監査といえば、適合性監査が基本です。
決められたこと”とは、顧客要求事項や法令・規制上の品質マネジメンシステムに対する要求事項並びにJIS Q 9100の要求事項などになります。
また、決めたこと”とは、決められたことを運用するために組織で制定した品質マニュアルや細部規定などです。従って、適合性の内部監査では、次の2つの観点で監査することになります。
①“決められたこと(要求事項)”が、“決めたこと(文書化された手順)”に反映されているか
②“決められたこと(要求事項)”や、“決めたこと(文書化された手順)”に従い運用・管理しているか

箇条9.2.1 a)1)では、組織自体が規定した要求事項には、注記として下記事項が要求されていますので、顧客の要求事項及び組織に適用される法令・規制上の要求事項を含めた監査が必要です。

注記 組織自体が規定した要求事項には、顧客及び適用される法令・規制上の品質マネジメントシステム要求事項を含むことが望ましい。

航空宇宙防衛産業の顧客からの要求事項の事例には、以下のようなものがあります。
・製造工程の検証
・技術指示、製造文書等の変更に対する顧客への事前承認の取得又は届出
・特殊工程に対する承認
・製品状態の識別
・不適合製品の管理に対する特別な注意 など

また、法令・規制が適用される製品を取り扱っている組織は、以下のような法規類が対象となります。
・航空法
・火薬類取締法
・外為法 など

有効性監査については、次回に引き続きます。

文責 古郡秀一

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