今回は、品証研の社員の皆さんにQC検定2級の受験を勧めたときの話をします。

QC(品質管理)検定とは、日本規格協会と日科技連が共催で2005年から開始されており、既に各企業で、あるいは大学/専門学校の学生などが多く受験を始めていたものです。

品証研に来てから早々に準備を始め、翌年の2009年に会社としては初めて2級と3級の試験に挑戦してもらい、2級5名、3級19名の合格者を出しました。その後も7-8年活動を継続し、40名近くの方がQC検定2級に合格しています。

以前から、検査員の持つべき能力は何かをいつも自問自答していました。もちろん検査員ですから、正しい検査ができる製品知識、製品への技術要求の理解、正しい計測技術をもつこと、検査員としての心構えをもつことなどであることは当然ですが、検査の概念を少し広げ、品質を守る行為と考えたときに、もう少し広義の品質保証というものを学んだ方がいいのではないかというのが結論でした。

実は、品証研に来る前の会社では、既に何人かがQC検定に挑戦していました。“これだ!”と直感しました。品質管理/品質保証の基本的知識(QC7つ道具/新QC7つ道具、データ処理、統計的処理、管理図、検定、実験計画法など)を学ぶいい機会になると捉え、早速、社員にQC検定の受験を勧めることとしました。

QC検定は、大きく実践編と手法編があり、実践編では品質とは、品質保証とは、品質管理の考え方などを取り上げており、また手法編では、主としてデータ分析方法など取り上げています。

検査技能そのものには直接つながりませんが、検定で身に着ける知識は、必ず検査、品質を守る仕事で役立つと考えたのです。

ところで、外部教育でQC検定事項の研修を受講すると、人数も多いので高額になるため、社内教育を行うことにしました。ところが、当時は出版物として、教科書のようなものが世に出ていなかったので筆者が自ら作成することにしました。QC検定で出題される内容から、数冊の本を購入して、自分で教育資料をパワーポイントでトータル250ページ程度を作りました。正直大変な時間がかかる作業でした。そして、過去問も整理し問題集も作成しました。教育は原則として土曜日を使い、5~10名程度の受験希望者に受験まで10回程度行いました。

幸いなことに、社員の中から挑戦しようという人がその後も多く出てきてて、少しハードルは高いですが2級受験のみを推奨し継続して研修をつづけました。4-5年後には、出題範囲も拡大、レベルも難化し、品証研メンバの合格率も相当低くなってしまいました。ここ数年は、受験希望者が少なくなり、休日の講座を取りやめることになりました。

成果をもう一度振り返りますと、実践編で得られた知識は、品質保証の常識のようなものにつながり、航空機の品質保証で要求されるQMS(品質マネジメントシステム)を理解する上で役に立っていると思いますし、また、手法編で学んだ改善の手法は、日常の業務でも使えること、更に統計の知識は、品質データの分析に使えることなどいろんなご利益があると考えています。

品証研の本業は、検査のサービスを提供することですが、その枠を超えて検査員が品質技術者に成長し、品質改善、ソリューションの提供ができるようになるためには、この検定で得た知識は、その下支えになるものと確信しています。

休日に研修施設を借り、講座での解説が終わった後も、結構、質問を受けることが多く、一人ひとりに個別に対応したこと、質問をメールで受けて、個々に回答したことなど今では懐かしい思い出になっています。地道な活動ですが、人材の育成には必要な活動であったと思っています。

文責 山本 晴久

 当社では主に航空宇宙の品質に関わるご支援をしております。
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