このシリーズでは、過去7回に亘って内部監査に関していろいろな観点から話をしてきました。今回は、最終回として、筆者が監査(内部監査でなく外部監査、客先監査などではありますが)を通じて、気を付けてきたこと、あるいは感じたことなどをお話しし、締めくくりたいと考えています。

先ず、品質保証部門でスタッフをしていた時、サプライヤーに出かけ、品証サーベイ(監査と言わず当時はよくサーベイと言っていました)をやる機会が多くありました。監査をやる立場ですが、その時の経験から2つ紹介します。

(1)監査ポイントの予備的検討
契約元の立場で契約先に伺うと、自社からの品質保証要求に対して契約先のQMSが確立されていることを評価することになります。通常は、専用のチェックシートを使いますが、その際、今回のサーベイのテーマは何か、何処をチェックすればいいかを予めよく考え検討しておきます。
そして、チェックシートに何をポイントにして聞くかを細かく書き込むようにしていました。そして、実際の監査では、その全部を確認することは出来ませんが、限られた時間内で効率よく確認できたのではないかと思います。

(2)指摘事項への対策のヒント
通常は、指摘事項が何件かあり、その内容を相手企業が理解していただけるようその趣旨を説明し、期限までに是正対策を提出していただくことになりますが、その際に心掛けていたことは、自分でもある程度その対策は想定できるので、その対策の考え方を一例として紹介するなど心掛けていました。それは、指摘内容をより深く理解していただけるのではないかと思っていたからです。相手企業も是正対策を考える糸口にしていただいていたのかもしれません。

次に、自分達が監査を受ける立場での心掛けですが、3つ紹介します。
(1)対応メンバーの選定
監査では、専門的な見地も含めて、いろんな角度からの質問を受けることになります。その際、回答は時間を掛けることなく明確に答えることが肝要です。
従って、あらかじめ監査で質問されそうな分野で、実際にそのルールを運用してきた人を可能な限り出席するように配慮していました。的確な回答をすることが、監査員にもいい印象を与え、余分の指摘を受けることもなくスムーズに進められることを何度も経験しました。

(2)指摘への受け止め
特に、審査機関の監査は、それなりの対価を支払って審査していただいています。指摘を受けることは、実は、改善につながる機会を与えていただいていることであり、むしろ歓迎しないといけないことだと感じていました。
そして、指摘された理由を(どの要求に抵触しているかを)十分理解できるようにしていました。これが的確な対策につながるわけです。

(3) 対策の検討
そして、指摘を頂くと、原因を調査し期日までにその対策を報告することになります。その際、可能な限りシステムのどこに弱点があったかを分析し、対症療法に近い表面的な対策でなく、再発防止につながるような根本的な恒久対策を取るようにしてきました。

品質保証部門に長く在籍していたので、100回では済まない監査を実施したり、受けたりしてきたと思います。特に最近受けたNadcapの監査は、その道の超スペシャリストが審査員で、指摘も鋭く、対策にも相当苦労しました。しかし、この経験が、自分達のシステムを強化してくれていることも実感しています。

品質システムの維持のためには、この監査、内部監査が果たす役割は非常に大きいものがあります。今一度その意味を理解し、改善に役立てていただければ、嬉しく思います。

文責 山本晴久