このシリーズの最終回として、筆者が品質保証の担当者時代に変更管理に関して経験したことなど少し紹介したいと思います。

1.Side Effectに気を付けよう!
工程変更管理は、変更したところは良かったが、結果として他のところで悪い影響が出る場合があります。
例えば、研磨工程で砥石の再研磨サイクルを伸ばす改善(砥石の寿命を伸ばせる)では、加工個所の寸法と表面粗度には影響はなかったが、研削割れが浸透探傷検査で見つかるなど工程変更のいわば副作用(Negative Side Effect)が起きることがあります。

良かれと思って改善したものが、結果的に品質を悪くすることもありうるので変更可否の判断には、深い知見が必要です。

また、時間と共に問題が起きる場合もあります。例として作業効率化を狙ってショットピーニング時のショットを打たないエリアのマスクキングをテープからゴム製の治具に変更した時に、最初は良かったが、時間と共にゴムが劣化し、マスキングの機能を果たせなかったことがありました。
変更したことには何か弊害があるというように考えて十分な検討が必要であることを痛感しました。

2.変更管理の対象項目の決め方は難しい!
変更管理の対象項目を重要な変更、軽微な変更に分けて重要な変更を変更管理の対象にしたときに、重要な変更の定義をしておいても、申請する側のメンバーが、基準を都合よく解釈し、重要でないと判断して申請してこないということがありました。

そこで、筆者が変更管理を担当していた時期に、誤記訂正のような本当に軽微な改訂を除いて、原則、すべての変更を対象にするというようにルールを改定しました。その結果、変更管理の事務局の業務が増大し、苦労したこともありました。

現在は、特に重要部品などでは、作業手順書(工作表)に非常に細かく作業条件、使う治具などが記載され、その記載内容を凍結するようになっているものが多いように思います。その場合には、変更管理の対象を手順書に記載の事項のすべてというように明確に規定することができるようになっているのではないかと思います。変更管理を真に意味のあるものとするためには、製造プランニングが的確に必要なレベルまで細かく規定することが大切であるということでもあるのでしょうか?

3.サプライヤで聞く話は・・・
サプライヤさんに伺うと工程変更管理は顧客から厳しく言われている。変更をする際に事前の承認が必要なこともよく理解している。そこで、適用したい時は、時間的余裕を見て変更申請するが、判定に時間がかかり、計画していた時期に適用できないことも多いというご不満も聞きます。

もちろん、承認前に先行した変更はできません。サプライヤさん側でできることは、申請した際に、顧客の変更可否の判断がしやすいようなデータを添付すること、あらかじめ余裕をもって早めの申請を行うこと、進捗確認して促進をお願いすることくらいしかないのかもしれません。

工程を変えないことで製造品質を担保していくというやり方は、先達の知恵であったと思います。技術革新が進む中、また生産の効率化が求められる中、工程を変えないということは、ネガティブな考えのようにも感じますが、万一工程変更することで、部品劣化を起こし、故障し、破断し、延いては、航空機という特性上、人命にかかわる事故にならないとも限りません。

工程は変えないことが安心ではありますが、変えてはいけないということではなく、変えるときには、十分な検証を行い、品質に悪影響を及ぼさないと自信を持って言えることが大切ということだと考えています。

次回から改善をテーマにメルマガを続けます。

文責 山本 晴久