今回と次回に亘り、コンプライアンスマトリックス(C/M)の使い方に関して説明させていただきます。今回は、初品生産に先立つプランニング段階での使い方です。

初品で品質を作り込むためには、先ず図面、スペックの技術要求を完全に理解すること、そしてその要求を作業手順書、検査手順書などに確実に落とし込むことが最も大切です。C/Mというのは、技術要求のすべてに対して、それを作りこむ製造のプランニングが完了したことを確認するいわば検証行為に用いるツールの一つということができます。
下記のC/Mサンプル(図-1)をご覧ください。

 図-1 C/Mサンプル.PDF

具体的な例では、
・No1:図面要求の非破壊検査は、詳細要求が検査指導書に規定されているので問題はない。
・No2:図面要求の部品へのマーキング方法は、手順書に規定されているので問題はない。
・No3:図面要求のショットピーニングは、手順書に適切に反映されているかの観点で見るとショットピーニングエリアの指示が適切でなかった。その場合には、処置の指示をします。

これに倣って、図面、スペックの要求をまず洗い出し、図面/スペック、項目、要求事項の欄に書き出します。スペックからさらに呼び出されるスペックなども対象にします。そして根拠文書/資料の欄にその要求事項を落とし込んだ手順書番号を書き込んでいきます。手順書に反映できていない場合には、処置事項と期限と担当を明記しフォローしていきます。これが一般的なC/Mの使い方です。

更に、実際の作業(加工、組立、検査など)でその要求を実作業で実現できたかも確認できれば、製造/検査の検証にもなります。図-1の例では、注記の要求事項の例を挙げましたが、寸法要求などに関しては、個々には、工作表など作業手順書で規定されていると思います。
この検証はC/Mでも可能ですが、初品にて各項目毎の詳細検査を実施するFAI/FAVで行うのがよいでしょう。以前に書いたメルマガNo.20~23回FAI/FAVを参照ください。

検証項目は、すべての技術要求に関して行うことが理想ですが、運用リスク管理などで製造/検査で難しいと評価した項目など重要な特性に限って、詳細に行うことも一つのやり方ですし、事例のようにスペックを一つとしてとらえず、スペックの項目にブレークダウンして項目毎の手順書への落とし込みを確認するのもいいでしょう。

いずれにしても、フェーズⅡの初期製造に入る前に、一つの区切りをつけるためにC/Mを作成することは意味のあるものと考えています。読者の皆様も既に生産している部品を例にしてこのC/Mを使ってプランニングの完成度を見ていただくのもよいのかと思います。

次回は、筆者の経験からC/Mの別の使い方を紹介したいと思います。お楽しみに

文責 山本 晴久